はじめに:地震のあとに来る「もう一つの危機」
大規模災害が起きた時、私たちはまず「建物の倒壊」や「津波」から身を守ることを考えます。しかし、命が助かった後に、もっと長く、苦しい戦いが待っていることをご存知でしょうか。
それが**「災害関連死」**です。
直接の被害は免れたのに、避難生活における疲労や環境の悪化によって命を落としてしまう――。
過去の震災データを見ると、多くの尊い命が、地震そのものではなく、その後の「生活環境」によって失われています。
誤嚥性肺炎とストレス。その裏にある「不衛生」
なぜ、避難生活で体調が悪化するのでしょうか?
大きな要因の一つが**「衛生環境の崩壊」**です。
断水が続き、手も洗えず、服も着替えられない状況が何週間も続くと、私たちの体には次のような変化が起きます。
1.感染症リスクの増大
不潔な衣類や手は、細菌の温床になります。特に高齢者の方にとって、口の中や身の回りの不衛生は「誤嚥性肺炎」を引き起こす直接的な原因となります。
2.皮膚トラブルと免疫低下
汗や皮脂を含んだ下着を使い続けることで、湿疹やかぶれが発生。そこから来るストレスは免疫力を奪います。
3.「着替えられない」という絶望感
「臭うかもしれない」という恥ずかしさから、人は周囲との会話を避け、閉じこもりがちになります。これが運動不足や精神的な孤立(エコノミークラス症候群やうつ)の引き金になります。